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沼田市名木百選の上発知のしだれ桜

先祖代々の桜守り

吉野 常吉さん

「ご先祖様から何も聞いてない・・」


南北21メートル、東西18メートル、高さ17メートル余りの堂々たるしだれ桜は、小高い塚の上で、雪の残る武尊山を背に美姿をなしている。
もちろん、取材は桜の樹の下だ。
この老木の桜守りは、抱いていたイメージよりはるかに若い。
良く通る声で、しだれ桜と共に歩んで来た吉野家の歴史を語る。
四代前のご先祖様が市で桜の苗を買ってきて、この地に植えた。
祠があり、墓があり地域の信仰の対象として大切にされてきた。
農地改良や区画整理等があって、あたりは様変わりしたが、しだれ桜は微動だにせず、ずっとそこで生き続けて来た。
上発知の発達を見守り、吉野家の繁栄を見続けている。
このしだれ桜について、ご先祖様から何も聞いていないと言う。
だからこそ、不思議がいっぱい。

「親父の親父の親父が苗を買ってきて植えたと言うだけしか聞いてません。樹齢だとか種類だとか、なにも分からないんですよ。遠方から来られるアマチュアカメラマン達に良く聞かれるんですが、その都度分からないって答えてます。たいがい"なん〜だ"ってがっかりしますね(笑)江戸時代からここにあるってことは確かなんで。まぁ、推定すると・・」
想像して楽しみましょう。

「この桜にはきょうだいがいるんですよ。すぐご近所なんで、ここからでも見えます。」
指さす木々の合間から散り始めた桜が見てとれる。
「桜にきょうだいがいるかどうかって言う疑問もありますが、親父の親父の親父が、2本の桜苗を買ってきて、1本を祠のあるここに墓守桜として植え、もう1本を玉原山荘さん(現在)に譲ったと聞いてます。同門というか、きょうだいと言うか(笑)」
『お〜い げんきでやってるかぁ?』

『ことしも みごとにさいたなぁ』

『おまえ あいかわらず にんきものだな』

『すこしは かわってくれよ』

『ほら しっかり ポーズ ポーズ』

幹は2度3度と分岐し、樹形は極めて美しい。まわりに障害となるものは何もない。
4〜5年前に一度樹医さんのお世話になっただけで、たいした手入れもしなで毎年良い花を咲かせている。
「別名、苗代桜と言ってね、丁度このしだれ桜が咲く頃を目安に苗代作りをしたそうです。」
信仰の対象になったり、農家の暦になったりと頼られた反面迷惑もかけたという。
「親父は大きくなる前に切ってしまえと言ってました。」
花がらが周りの田んぼにいっぱい落ちて稲の生育の邪魔になったり、いためたりして迷惑をかけたらしい。今は、農業も変わって、稲床を田んぼで作ることもなくなった。そういう意味での迷惑はかけなくなったが、花の時期には朝早くからアマチュアカメラマンがたくさん集まる。遠方からの花見客も大勢来る。別の迷惑を少し考えてしまう。

昨年、墓を直して塚の周りを手入れした。しだれ桜と共にご先祖様の供養をした。
「昔は土葬でしょ。江戸時代からとなると随分ご先祖様があの桜の樹の下には埋葬されているわけです。(笑)あの桜が丈夫で形良く、見事に毎年咲き誇るには・・まぁ、ねぇ・・ 
そういう訳ですかねぇ・・(笑)」
「ご先祖様から何も聞いてない・・」とはマエフリで。
「桜の樹の下には・・」がオチ。
からかわれた気がしないでもない。
「私が、あそこに入る時は火葬ですから・・」
最後まで話しは飄々としているが、やはり桜の行く末を案じている。

来年の桜の時期には、吉野さんの少し演技がかった、上発知のしだれ桜の不思議な話を聞く人は何人いるのだろうか。

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