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街の雑踏や、やたらとけたたましい騒音にかき消され、
いつしか、季節感すら忘れていた。

成果や結果、人生にさえ優劣評価を強いられる、
世知辛い日常には、
時として、こんな息抜き小旅行も必要なんだ、と、思わせる
妙義の奇勝とその紅葉。

都心から1時間30分ほどの、My Favoriteな紅葉スポットをご紹介しよう。
一歩離れて、そそり立つ岩肌と紅葉の織り成す景色を眺めるも良し、
軽装を準備して、3時間程のコースを巡るも良し、
時間と体力にあった楽しみ方が出来る。

江戸に幕府が移り、信州(長野)を結ぶ中仙道の要所となった、碓氷峠の関所。
「入り鉄砲に、出女」 これほど急な坂道では、重い鉄砲を持ち込んだり、江戸武家屋敷の奥方は通らないだろう、という思惑と、そのウラを考える思惑から、今に伝わる文句。

やがて鉄道による大量輸送の時代が到来。
「母さん、僕のあの帽子どうしたでしょうね。ええ、夏。碓氷峠から霧積へ行くみちで 渓谷へ落としたあの麦藁帽ですよ(人間の証明:森村誠一)」

信越線の横川〜軽井沢間が閉鎖されるや、“峠の旅”の風情は、しばらく人の記憶から遠退いているのかもしれない。

碓氷湖(坂本ダム)駐車場付近から、対岸(西)方角。緑部分は朝日による陰。2006.11.10

江戸の通行手形と関所の時代から、やがて鉄道が大量輸送の要となる明治時代へ。
その急勾配から、第二の歯車レールを噛み締めて登る「アプト式」を取り入れた信越線 横川〜軽井沢間の蒸気機関車区間。

今、私は、当時の人が車窓から眺めた紅葉の景色や、トンネルの中を歩いている。
トンネルの中に進むと、心なしか、石炭の煤けた匂いがしてくるようで、不思議だ。

この区間は、900m以上の勾配を一気に駆け上がる。機関車の煙の向うの、トンネルの出口に広がった突然の紅葉は、どんな風に見えたのだろう...。
「あっ、秋だ。お母さん、見て。秋だよ、秋。綺麗だなぁ。真っ赤だよ。窓、開けてもいい?」

そのうち、眼下に突然広がる、碓氷湖。
碓氷峠には、昔からの湖畔は無い。唯一の碓氷湖は、坂本ダムによる人造湖である。
決して広くは無い碓氷湖も、湖畔沿いに周回する遊歩道は、2時間程かかる。

周囲を山の稜線に囲まれている為、朝夕は対抗側にその稜線の陰が映り、コントラストが妙美。
また、比較的、天候が安定している為、水面に映る月や星が綺麗。流星群などの天体観測スポットにもなっている。
そして、なによりも、周遊の遊歩道が素敵なこと。四季は問わないが、例えば紅葉の季節、朝焼けの中を一人で周遊しながら満喫して欲しい。次の時は必ず、大切なあの人を連れてきたくなるだろう。

碓氷湖を過ぎれば、目指す「めがね橋」までは1kmほど。
左右に、盛り上がるほどに張り出す、赤・黄・緑の枝葉は、まさに紅葉のトンネルの様。
トンネルの煉瓦が色あせ、やがて劣化・風化していくのとは対照的に、森を覆いつくさんとする自然の営みの、なんとダイナミックで豊かで不変的なことか。

遊歩道も、いよいよ終盤。めがね橋に到着。
トンネルを抜けた瞬間、まるで、背後から大きな自然が覆い被さるようなほどの、紅葉の渦潮。
振り返ると、まるで、煉瓦の鉄橋を飲み込むようだ。思わず、圧されるように早足になってしまう。

歩いている間中、脳裏に繰り返し映るのは、映画(「人間の証明」)で観たワンシーン。まるで、自分の納まる所を知って居るように舞って落ちていく麦藁帽子。
「そうだ。帰りながらビデオ屋に寄って借りて、家内と二人で観よう・・・。松田優ちゃん、懐かしいな」
思いがけず、久しぶりの夫婦のひとときを、あれこれ、思い巡らしながら、帰路のハンドルを握る。

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