今年の夏も、始まったばかりだというのに、暑い、暑い... 休日の我家の暑さは、さらにひどい。 「ヒート・アイランド現象」ならぬ、 「ヒート・マイハウスな現状」だ。
「こんな時は、地底探索だ」と、家族で、家を飛び出した。 向うのは、地下発電所と鍾乳洞。
おまけに、陶芸工房にも立ち寄り、 心まで清くリフレッシュ。
女性や年配の方でも大丈夫との事。安心して家族そろってバスに乗り込む。 配られたリーフレットを見ても、なんのことやら、さっぱり解からない。「???」のまま、発電所に到着。同行の説明員さんに従い、閉ざされたシャッターの奥へ。
「あっ、これ」。「これこれ」。「ねえ、これ」。「あれ見て、あれあれ」。 子供達の声が、コンクリートの洞窟にこだまする。それぞれ、指差す方向が違う。 ここまで来て、やっと、このリーフレットのトリックのたねあかしが解かる。 でも、ここでは、ネタは明かすまい。皆様、来て観てからのお楽しみということにしておこう。
およそ1時間の地底トンネルツアー。来たバスに再び乗り込み、出発地点に戻る途中、 車内で「しおじの湯」のアナウンスを聞く。「立ち寄り湯も、いいな」と、家内と目配せ。
種明しは、オーナーシェフは現役時代スイーツの責任者でもあったらしい。
「スカイブリッジ」は渡り始めると、中央に進むにしたがって、次第にドキドキ感が高まる。見下ろすと、眼下90m下の渓谷に咲く草花。辺りを見渡した途端、私の膝はガクガク。 妻や子供達は、「キャッキャ」笑いながら渡ってしまう。 私は「オズオズ」と手摺につかまりながら。
眼下に広がる景色は、すばらしい。 だが、そんなことは言っていられない。早く渡らなくては...。歩みが、ちどり足になってしまう。 やっと渡りきって、右の案内板を見たら、 「手摺の上に乗らないでください」 「バンジージャンプは禁止です」 うっそー、そんなツワモノいるのかよ...と、妻や子供達と目を見合わせた。
頭上や足元に注意しながら進むと、そこらに潜むこうもりと遭遇。なかには腹ばいにでもならないと通れない場所もある。
それにしても、大きな洞窟だ。 洞内の気温は、一年中12℃前後。夏でもウインドブレーカーの一枚も欲しいところ。
雨が多い時期は、上から滴る水滴が足元を滑らせるのでご注意。
渓谷にそって吹き上げる風が気持ちいい...と思って、下を見下ろした途端、またもや私の膝はガクガク震えだす。 地下発電所や鍾乳洞など涼しい所を選んで、この旅のコースを決めたのだが、一番冷やされたのはスカイブリッジでの私の”肝”だった。
練馬から2時間弱で、これほど自然が満喫できるとは...と、しばし感動し立ち尽くす。 決して、膝が震えて歩けなかった訳ではない。
私たちが泊まるのは、4人用コテージ。左右に造り付けの2段ベッドが二つ。 早速、子供達の「ベッド争奪戦」が勃発。 結局、私の上が娘、妻の上が息子で決着が付く。
キッチンやガスコンロ、ユニットバスやトイレは完備され、管理棟とのインターホンもあるので安心。 ヤカンやガラスコップはあるが、それ以外は持ち込みかレンタル。 バーベキューをしたかったので、炭で黒くなってもよい食器や鍋などは一応用意してきた。
出発前に買い込んだ、バーベキューの食材を火に掛ける。 隣りでは、鍋で炊いているご飯の吹きこぼれるいい匂い。間もなく、鍋の蓋との合わせ目から立ち上る白い煙とおこげの香り。ハンゴウでは無いので、ひっくり返して蒸らすことは出来ないから、鍋位置をずらして調節。 臆病な私は、いつもならご飯が炭になってしまうのではと、つい早めに火から外してしまい、柔らかな飯になってしまう。今日こそは、はやる気持ちをグッと我慢。
蓋を開ける瞬間は、内心ひやひや。どうだっとばかりに、一気に蓋をあける。湯気の中に見えるのは、炊けたご飯の表面に出来たカニの穴。しゃもじでかきほぐすと、底の方から上がってくる、茶色いおこげ。 しゃもじについたご飯をまず味見。自分では満点。さあ家族の判定は?
私の、ご飯の炊き加減の家族の評価は、この際、触れないことにしておく。
さて、バーベキューの後、妻や子供達は、まだ「レストラン・まほーば」が開いているのを確認し、連れ立って食後のデザートを食べに行っていた。よっぽど、お気に入りだったのだろう。
そのあとは、家族そろって「しおじの湯」へ。車で10分程。さらっとしたお湯に、旅の疲れを洗い流しに出発。
今夜泊まるコテージにも、ユニットバスが完備されているのだが、「ここまで来て、水道水の給湯シャワーっていうのも、なんだろう。やはり天然温泉じゃなくちゃ」ということで、家族全員賛成で即決。
男女別の浴室から、露天風呂に出てみると、神流川を挟んだ対岸の景色は最高。夕暮れの中、遠く対岸を走る車のヘッドライトも幻想的。 聞けば、秋になれば、対岸の紅葉も最高のロケーションとか。
平成18年3月にオープンしたばかりで施設も新しい。近隣の源泉を数箇所引き集め、ブレンドした泉質も疲労回復の効能。
男女それぞれ屋内風呂、露天風呂が1槽づつだが、目と耳と鼻で味わう自然と季節感を、心行くまで堪能して欲しい。
昨夜炊いたご飯の残りを、焼おにぎりにしようと、コテージのレンジで挑戦。 レンジ口は一つなので、順番に調理。頃合をみて、レタスとツナのサラダ。 ウインナーとハムと卵で、たまにはいいところを見せようとオヤジが腕を振るう。 足りない所は、フレンチトースト。 隣りのシェフが調理すれば別だろうが、私の場合、「とき卵と牛乳に浸した食パンを、フライパンで焼いただけの、ねちょっとした焼目付きパン」になってしまう。(いつも、張り切りすぎて、ごめんな)
チェックアウトを済ませ、R299を下って向うのは、藤岡。
子供達は染色体験に挑む。影絵のような図柄からデザインを選んで、生地となるTシャツやトートバッグに染めこんでいく。
どうやら、鹿の夏の毛で作ったブラシに付けた顔料を、巧く落として、摺込んでいくかがコツらしい。しばし、それぞれイメージをわかせながらの、無言の作業が続く。匠も、気を利かせて、自分の作業に戻ってしまう。
年末に行われるオリジナル年賀状の作成教室や、藍染め教室など、 季節限定の工芸教室も、好評だとか。
さすが匠。気さくな冗談で体験者を和ませながらフォローに周って、土に触った瞬間に、話し掛けられないほど緊迫した気合。
妻は、寿司屋さんの、魚篇(さかなヘン)の書いてあるような湯のみを作りたいらしい。上薬を塗られ、焼かれて手元に届くのは、1ヵ月後。
「作品を見れば判るんだ。あんたは真面目な性格だ。でもその後に”のろま”が付いてくる。いつも後手後手に回ってしまう。そうだろう。だんなもそうやって見つけたんじゃないの?」 最後は陶芸占いまで始めてしまう、匠であった。
「定年退職を期に、ここ(群馬県上野村)に移り住んだ。地場物で良い食材が豊富。都内では味わえない四季折々の風景、風の音、その匂いの中で、私の料理やスイーツを、味わって頂きたい」とおっしゃるオーナー。その味に、移ってくるリピータも多いとか。 山村で、極上スイーツは、いかが?
体験しなければ、その醍醐味は味わえない。 御荷鉾山の美しい自然の中で、 専門家のていねいな指導のもと、工芸体験が楽しめる。 一日のんびりと、家族でも楽しめる